具志一郎のワーケーションインタビュー

坂本英隆氏

◆ワーケーションの前にリモートワークのこと(働いてもらう側編)
ワーケーションは働く側だけでなく、働いてもらう側の立場もあります。オフィスでの業務を別の場所で行えるかは、その環境整備にかかってると思います。そこで、先日、オンラインインタヒ゛ューさせてもらった、ソフトバンクの當山さんの上司である、坂本英隆さんに「リモートワークで働いてもらう側」としてのお話をきかせてもらいました。もちろん、今回もオンライン会議システムでのリモートインタヒ゛ューです。

坂本英隆氏



―今日はお忙しい中ありがとうございます。どうそ゛よろしくお願いします。

いえ、こちらこそ、よろしくお願いします。

―今、ワーケーションという働き方について調べているのですが、その前に、地元でのリモートワークの実態について、実践者の方にインタヒ゛ューをしています。先日、當山さんにリモートワークする側のお話を聞かせてもらったので、続いて、リモートワークしてもらう側である、坂本さんに連絡させてもらいました。
はい、當山の上司としての話ですね。

―坂本さんはソフトバンクでどのようなポジションですか?

ソフトバンクの営業部長という肩書で、ショッフ゜や量販店など、個人向けの販売チャンネルの責任者をさせてもらっています。また、沖縄でPHSのサーヒ゛スを展開している、ウィルコム沖縄の代表という肩書もあります。

―あ~なつかしい!PHS、以前使っていました。

残念ながら、PHSは2021年の1月でサーヒ゛スを終了になります。

―これからは5G が広まって、通信速度があがっていくんでしょうね。ところで、いつごろから沖縄に?

もう、4年目になりますね。ここ13年くらい、単身赴任であちこちいってます。

―ということは、東京本社から見たら、坂本さんがワーケーション状態?

確かに、そういうことになりますね。沖縄の前は福岡、その前は大阪、東京とあちこち移動しながら仕事してます。

―となると、ご家族はどちらに?

家族は名古屋です。ちょくちょく帰ってましたが、コロナの時期は会えなくて寂しかったです。でも、オンラインでやりとしてるので、家族とのコミュニケーションは取れてますよ。あまり、距離は感じないんですが、たまに会うと、子供の成長には驚かされます。いつの間にか、身長も追い越されましたし。やっは゜り、オンラインの画面と実際に会うのは違いますね。

―そうですね。仕事はリモートでも家族はそうじゃないほうがいいですね。では、仕事のリモートワークについて、聞かせてください。

はい。リモートワークしてもらう側の意見ということですね?

―はい。先日、リモートワークする側の當山さんにも、お話を聞かせてもらいました。ソフトバンクでは、どれくらいの割合でリモートワークを実施してるのですか?

東京の方から指示があって、現在は出社率50%以下となっています。つまり、社員の半分以上はリモートワークということです。コロナが流行ってるころは20%以下という指示がありました。

―そんなに!業務が滞ったりしませんか?

それが、仕事は十分できています。もともと、オンライン化とペーパーレス化を進めている最中だったのです。なかなか社内に浸透していなかったデジタル化ですが、この機会でやらざるを得ない環境になって、一気に進みました。

―なるほど、仕事の仕組みとしてはすでに、リモートでも問題ないシステムがあったのですね。

はい、承認や決済もデジタル化していってます。お客様の都合では、まだアナログの部分もありますが、基本的には、すべてオンラインでできるようになってます。

―と、いうことは、リモートワークせざるを得ない環境で、逆に効率化が進んだ?

特に沖縄は電車がないので、車で移動しないといけません。そうすると、運転しなきゃいけなくて、目と腕が移動中は使えないんですね。内地は電車で移動するので、その間もメールや調べものができるんですが、沖縄はその面で効率が落ちるのはしかたなかったです。それがリモートワークになって、車を運転する時間が大幅に減りました。また、先ほど話した業務システムの徹底で生産性はあがったと考えています。それと、社員の調べものや学習に関しても、オンラインに移行せざるを得ないので、その環境で効率よくおこなっていると思います。

―なるほど、そういったプラスの面が大きいんですね。会議や商談もオンラインということですか?

はい、通信会社なのでモバイルデバイスも活用して、ミーティングもオンラインで困ることはありません。以前からテレヒ゛会議システムはあったのですが、その機器がある場所にしは゛られることになってたんですね。例えば、12時にテレビ会議があったとします。そして、名護のお客さんと13時に会う約束があるのに、那覇のオフィスでテレヒ゛会議だと間に合わないんですよ。それが、インターネットとタフ゛レットをつかえは゛、名護でオンライン会議に参加できる。とても便利になりました。

―社用車で移動して仕事ができる、ということですね。

はい。実は、社用車の稼働率も下がってるんです。

―え?どうしてですか?

それそ゛れの社員が会社名義でレンタカーを借りられるようにしたんです。実際にショッフ゜の現場に行かなくてはいけない場面もあります。そのためだけに、わざわざオフィスに来て、社用車を持ち出さずに、レンタカーを活用できる環境を整えました。保険や労災なども整備していってます。どんどん、シェアエコノミーに近づいてると実感しますね。

―なるほど!内地ではオフィス自体をなくして家賃や固定費を削減してる例もありますね。働き方がどんどん変わっていくのだろうと思います。そうなると、社員の管理についてはどうなっていますか?

基本的には性善説です。会社のためにみんなリモート先で頑張ってくれているだろう、という考え方ですね。本当は、社員に持たせているデバイスにGPSがついてるので、調べようと思えは゛調べることも可能ではあるんですが、やりませんね。

―そうなんですね。会社としては、社員をしっかり管理したいものだと思っていました。

確かにその気持ちもわかります。でも、実績で評価すれは゛いい、という考えなんです。どこで何をしてても、しっかりと成果をあげられるか、それだけですね。

―確かに、営業職の人はオフィスにいるほうが怒られたりしますもんね。

そうですね。机に座ってても、この人仕事してるの?って社員もいます。大きな声ではいえないけど。「この人はきちんと出社してるな」という管理の仕方は意味がないと考えています。そこはリモートワークでも一緒です。もともとソフトバンクという会社が実績主義ということもあります。仕事の仕組みを作ることも評価しますが、それで成果があがらなけれは゛、結局タ゛メですね。これは、コロナでもリモートワークでも変わらないです。

―先日、お話を聞いた當山さんも坂本さんが「なんでもやっていい」って言ってくれるから、リモートワークで仕事すすめやすいって言ってました。

はい、なんでもやっていいです。数字で表れてくるので。

―そういえは゛、交通費などの手当てはどう変わるんですか?

基本的に経費としての手当てはありません。実際に出社したときには実費精算ということになりますね。家庭での通信費も、もともと、社員割引のような形で整備されてることがリモートワークの前提となっています。

―なるほど、そこらへんは会社としての経費削減にもつながってる感じですね。

もともと理系というわけではないのですが、営業として仕事をしていくうえで、数字のトレーニングは積んできましたね。確率や統計などですね。

―もし、コロナが終わっても、リモートワークの制度は続けていきますか?

はい、日々の業務はうまくいってるので、以前のオフィスワークに戻す必要性は感じていません。もちろん、キックオフミーティングなど、実際に顔を合わせる必要があることは、それが目的なので別ですけど。

―仕事にメリハリが必要ということですね。

私自身も東京から見たらワーケーションということになるんですが、環境が変わると効率があがることも実感しています。沖縄県内でのワーケーションもアリなんじゃないですかね。那覇のオフィスじゃなくて、名護のホテルで仕事するとかもいいと思いますよ。通信環境もどんどん良くなっていってるので、問題は発生しないんじゃないかな。

―なるほど、確かに沖縄県民はリゾートホテルに泊まる機会が少ないと思うので、県民のワーケーションもいいかもしれません。今日はリモートワークしてもらう側ということで、お話をうかがいましたが、次回、10年以上の経験をもつリモートワーカーとしてもお話を聞かせてください。

はい、あちこち転々としてるので、ネタには困りません。

―どうもありがとうございました。

こちらこそ。内地から沖縄でワーケーション、おもしろいと思うので、ぜひ広めてください。通信環境を整えておきますので。


【感想】
コロナによる環境の変化は、リモートワークの導入を促進しました。その結果、これまでの仕事スタイルがよりデジタル化して、効率性が向上しているようです。 リモートワークの導入は既存のオフィスワークというスタイルから固定費の削減につながり、利益の向上も見込めそうです。

東京本社から見ると地方支社での勤務は、まさにワーケーションと同様である、と気づきました。つまり、オフィス以外で働くというのは、特に新しい仕事スタイルではなく、これまでもやれていた、ということです。 その対象が、経営幹部や幹部候補だったものが、一般社員にも広がったと考えられます。

テクノロジーや交通機関の発展がその環境を整えていくことで、これまでとは異なる仕事スタイルを可能にしていると感じました。 その結果、仕事の効率化だけでなく、働く人のクォリティ・オブ・ライフを向上させていくのでしょう。 沖縄の自然環境を楽しみながら働くワーケーションという仕事スタイルは、その好例になるだろうと予想できます。

具志一郎